2019/05/31

保活とは、保護者が保育園を探し、入園内定を目指す一連の活動だ。就活や婚活と同様、時間と労力をかけて活動をするので、それをラベリングし呼びやすくするために保活という言葉が生まれたのではないかと推測される。
つまり、保活は、時間と労力をかけた活動なのではないかと。ぼくはその前提が間違っていると思う。
そもそも、そこに時間と労力はかけるべき活動なのか?その前提を疑いたい。
保活はめんどくさい
ぼくがこの1年の保活を通して感じたのは、めんどくさい、ということだ。
いや、マジで、めんどくさい。
なぜ、こんな時間かけないといけないのか。
なぜ、区役所に行かないといけないのか。「めんどくさい」と何度思ったことか。その労力は、本来自分のしたいこと(自分の場合は仕事)に使うべきでは、と強く感じた。
つまり、時間と労力をかける活動の「保活」は間違っている、と。ぼくは、「保活」というワード自体おかしい、と思っている。
では、実際に、何がめんどくさかったのか、振り返っていきたい。ざざっと、行動記録を貼り付けてみた。(ぼく自身だけでなく、妻の行動も含んでいる)
保活の行動記録
自宅周辺の保育園の情報を集めようと決める。
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疑問がわく。「認証って何?」「認可と認可外の違いって?」「自宅周辺のどこにある?」「まず、何をすれば良い?」「点数って何?」「どうやったら有利になる?」「月にいくらかかる?」etc…
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その情報をネットで集める。
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区役所に行き、保育園の資料をもらい、担当者からできるだけ情報をもらう。(ネットでは載っていない競争倍率の資料など)
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自宅周辺の認可保育園にはほぼ確実に入れないことがわかる。妻と相談し、引っ越すことを決める。
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どの区に引っ越すか決めるため、いくつかの区の区役所に行き、情報収集する。
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引越し先を決め、引っ越す。
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自宅周辺の保育園情報を区役所やネットで集める。
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よさそうな(自宅から近いという点しかその時点ではわからない)保育園に目星をつけてリストアップする。
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保育園の電話番号を取得する。認可は区役所からもらった冊子、認証は区役所のホームページに、認可外は東京都福祉保健局のホームページから。
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見学予約の電話する。(電話でしか予約できない。電話予約も慣れてない先生?だと結構時間かかる…。)
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電話にて情報を得る。見学できる条件と時期についてメモする。認証保育園は、説明会参加者のみ待機登録ができる、などの条件があり、かつ、定員オーバーで見学会すら参加できない(つまり待機登録の前段階ではじかれる)園もあることに気づく。
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見学会に参加するため、スケジュール調整する。予定表に書き込む。
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保育園の場所、行き方、かかる時間を調べる。
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見学日当日、見学するため、保育園へ歩いて行く。
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保育園の先生に話を聞き、その場でメモする。
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自宅に帰ってからメモをまとめる。
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家庭内で共有する(話す)。
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家庭内で検討、順位付けする。
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(情報収集・見学の繰り返し)×30
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夫婦で相談し、決める
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区役所の申込書に記入する
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提出する
2016年12月現時点で、認可保育園には入れなかったので、認可外保育園に入れている状況だ。
認可はもちろん空いておらず、認可外も今の園しか選択肢がない状況でギリギリ入れた。何時間も何日もかけてこの有様である。
正直、うちはマシな方だ。認可外も空きがなくて困っている人はかなりの数がいるのではないかと思う。(ぜひ、コメントに該当する人がいれば残してほしい…!)
いかに面倒で大変なことがわかっていただけたと思うが、ここからは、何があるべき姿なのかを書いていきたい。
あるべき姿はラクに子供の預け先を見つけられること
あるべき姿は、保活という言葉がなくなるくらいに、ラクに、スムーズに、子供の預け先を見つけられること。
そして、親たちが自分のやりたいことができる。これが理想である。
それを実現するために、解決すべき問題は何か。
最もクリティカルな問題(マクロ視点)は、「安くて」「安全な」預け先が、認可保育園しかなく、かつ、数が足りていないということだ。
認可保育園が、最もよい環境で、かつ、安いので、応募が集中してしまい、無意味な競争が生まれてしまう。パイの奪い合いである。
認可と認可外で負担額が年間数十万円の差がでる。
なぜこんなことになってしまったのかというと、認可保育園に国が補助金を出しているため、消費者(保護者)に、安く労働力を提供できているのだ。ぼくは、それが問題だと思っている。
保育園が都市部に新設しづらいというのはよく知られていることだ。建てた後で、周りの住民の声を受けて開園できない園もある。
「保育園」と呼ばれている箱を増やすのは現実的に厳しい。
ぼくは、国が、下記2つのことをすれば、諸問題が解決すると思っている。
1.認可保育園への補助金制度を止める
2.保護者らに保育バウチャーを配る
簡単に言えば、金を保育園に配るのではなく、直接保護者に配ればよい、ということである。
まずひとつめだが、補助金という甘い果実を止めることにより、保育園同士の競争が生まれるのを期待したい。
現状、株式会社の参入と、認可保育園という”認定”取得も厳しい。安くてハイクオリティな認可保育園が一人勝ちの状況なのだ。
市場原理が歪んでいる。その市場原理をまっとうにし、株式会社での参入を推奨し、バリエーションのある保育サービスが生まれることを期待する。
ふたつめ。補助金を止めると、保護者に対する費用負担が増える。それを援助するのが保育バウチャー(クーポン)である。直接お金を配ってもいい。
理想は、保育園だけでなく、ベビーシッターのようなサービスに対しても使えること。保育園という箱がもう建てづらいので、箱を必要としない預け先の選択肢を増やす。
それを安価で使えるようになるのが理想。
保活はめんどくさいことだらけ(ビジネスチャンス?)
マクロな問題は上記に留めるが、保活体験者として、ミクロな問題もざざっと書いていこう。めんどくさいことだらけである。泣けてくる。
保育園情報が体系的にまとまっていなくて情報を集めづらいし、見づらい
自宅周辺の「認可」「認証」「その他の認可外」保育園がひとつにまとまってないのである。区役所や福祉保健局のホームページに載っている。
フォーマットもバラバラ。認可と認証はマッピングされていてほしいし、自宅から徒歩何分なのか知りたいけど、それがない!理想は、保育園マップ、ないしは保育園取得APIもしくは保育園CSVがGithubで公開されていること。
そうすれば開発者があとは勝手にまとめてくれる。ホワイトハウスを見習うべし。
→ムカついたので、それを解決するiPhoneアプリをつくった(詳細は下記)。
電話で見学予約がめんどくさい
電話で一件一件予約するのは大変。相手(先生)にとっても電話は”割込み”なはずなので、電話はよくない。
電話慣れしてない先生もいるし。Webから空いている日が確認でき、予約できたら最高。
区役所に行かなければいけないのがめんどくさい
これが最もイラッとした。窓口で1時間待たせたあげく、Webで公開されていない資料をくれるだけ。特別なアドバイスもなし。
それだったらその資料をWebで公開すればいいじゃん。彼ら彼女らは自分で自分の首をしめている(仕事を無意味に増やしている)。
月の保育費がわかりにくい
認可保育園だと、親の収入によって変わってくる。その階層を決める、「市区町村民税所得割額」というのがいまだにわからない。
保育園見学がめんどくさい
足を運ぶのはやはり大変。個人的な理想は、箱(施設)に行くのではなく、家に来てほしい。
保育園の口コミがほしい
先輩ママの声が聞きたい。現状は、需給バランスが大きく崩れていて、何も努力しなくてもお客(保護者)が集まってくるのが問題。口コミが機能すれば、サービス向上につながる。
といったところ。後で思い出したら、追記する。
さて、保活体験者して、書いてきたが、これだけ自分がめんどくさいと感じたので、他のもそんなことを感じているのだろう。
少しでもその大変さを、解決したい。そんな思いもあり、保活支援アプリ(iPhone向け)をつくった。それが、保活アプリ『きっと』だ。
なぜこの名前にしたかというと、きっとうまくいく、そんな世界を目指しているから。
今年流行語になった「日本死ね」だとかそういう保育園に落ちて苦しんでいる人がもう増えてほしくない。少しでも保活の助けになってくれれば、ぼくも嬉しい。
Android版に関しては、ニーズがあれば、周りの開発者を巻き込んでつくっていく。
というわけで、保活の現実と理想を語ってきた。少しでも理想に近づけるようにぼくも行動していきたい。
この記事は、固定ページの記事と同じです。